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【舞台裏】ツール・ド・フランスのチーム運営費とスポンサーの役割とは?

お金

 

ツール・ド・フランスに出るプロ自転車チームの運営には、いったいどれほどの費用がかかるのでしょうか?実際はチーム運営には年間数十億円規模にも登ります。本記事では運営費の内訳や資金源、さらに資金難によって解散に追い込まれた実例までを詳しく解説します。本記事を通して華やかなレースの裏にある経済的な現実と、チームが生き残るための工夫と努力を見ることが出来ます。

 

 

大会運営自体もスポンサーが支えています。

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目次

 

ツール・ド・フランスのチーム運営費はいくら?

ツール・ド・フランスに出場する世界トップチームの運営には年間で1,500万ユーロ(約25億円)以上の資金が必要とされています。ツール・ド・フランス出場チームの中でも規模や目標によって金額は大きく異なります。総合優勝を狙うチームになれば年間予算は2,000万ユーロ(約33億円)を超えるとも言われています。

参考:https://www.cyclingnews.com/

 

自転車チームは年間を通していくつものレースに出場しますが、中でもツール・ド・フランスは約3週間に渡りフランス全土を走るレースのため、宿泊費、移動費、メディカルサポート費用など普段以上に費用がかかります。

 

 

最もかかるのは選手年俸

ツール・ド・フランスで総合優勝を狙う、もしくは上位入賞する選手となるとチームからの年俸は数億円規模になります。このクラスの選手が複数にいると選手人件費だけで運営費の多くを占めることになります。

しかしロードレースに限らずスポーツチームの最も重要な資産は選手であり、結果を残す=チームに利益を生むことの出来る選手には多くの予算が割かれるのは間違いありません。

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チーム運営費の主な内訳

ロードレースチームの運営は選手人件費以外にも想像以上に多岐に渡る費用が積み重なります。

 

①宿泊費・移動費(ホテル、飛行機、バスなど)

ツール・ド・フランスのような都市を異動するレースの場合はホテル代や移動費がかかります。選手やスタッフは毎日異なる都市に宿泊し、チームバスや機材車も帯同します。ロードレースは世界中で行われているため、航空機移動やトラック輸送を含めて1年を通して大規模の予算が必要です。

 

②機材費

ロードレースの生命線はバイクを含む機材関連の費用です。1人の選手に対してロード用・タイムトライアル用・予備車など、年間で5台以上のバイクが用意されると言われています。加えてホイール、ウェア、ヘルメット、無線機器などの関連機材も必要です。また、機材の面倒を見るメンテナンススタッフの人件費もかかります。なお、チーム・選手によってはスポンサーから機材を提供されている場合があります。

 

③食費・栄養管理

連日のレースでトップレベルのパフォーマンスを維持するには栄養面の管理が欠かせません。多くのチームは専属のシェフや栄養士を帯同させており、選手の体調やレース戦略に合わせた食事プランを提供しています。食材・調理設備のモノにかかる費用、シェフ・栄養士の人件費がかかっています。

 

④医療・サポートスタッフ費用

ロードレースでは落車や過酷なステージによる疲労が頻発するため、医療体制の整備が極めて重要です。チームには専属ドクターや理学療法士が帯同し、日々のメディカルチェックやマッサージ、リカバリーケアなどを担当します。加えて、心理的なサポートや怪我のリハビリプログラムまで含まれることもありサポート体制維持には高いコストがかかります。

 

 

大会からの援助はある?

ロードレースの大会によっては大会から出場手当(インセンティブ)が支給されることがあります。具体的にツール・ド・フランスの場合は1チームあたり約5万ユーロ(約825万円)が支給され、その資金は選手とスタッフへの旅費・宿泊費・食費・機材輸送などの経費補填に使われます。しかし、大会を乗り切るためには「ちょっとした足し」くらいの金額です。

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大会賞金で運営費をまかなえる?

ロードレース大会では上位入賞することで大会賞金を得ることが出来ます。選手個人のタイトル(優勝など)に関しては選手自身が全て受け取るのではなく、チーム内で分配されるためチーム運営費の補填になります。

しかし、賞金による補填は限られていると思われます。仮に世界最大のロードレース大会のツール・ド・フランスの賞金を1チームが総取りしても約230万ユーロ(約3億8,000万円)です。とてもチーム運営費を賄えないことが分かります。

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チーム運営費の収入先は?

上述の通り、大会賞金はチーム運営費への”アテ”には出来るものの十分ではありません。このためチームの多くは運営費の大部分をスポンサーからの収入に頼っています。

 

タイトルスポンサー

チーム運営にとって最大の支えとなるのがタイトルスポンサーです。例えば「INEOS Grenadiers」や「UAE Team Emirates」のチーム名は、そのままメインスポンサー企業の名前を冠しています。このタイトルスポンサーからの支援によってロードレースが成り立っているとも言えます。

 

ジャージ・バイクロゴ

スポーツへのスポンサーとして最もイメージし易いのがユニホームへの広告宣伝費ではないでしょうか。選手のユニホームには多くのスポンサー企業の名前が記入されています。またロードレース独特な部分ではバイクにスポンサーロゴが記入されており、ユニホームと併せてスポンサーを宣伝します。

 

機材提供

バイクやヘルメット、ウェアなどのメーカー企業から機材が提供されます。これら機材提供は直接的な収入ではないものの、チーム運営費への貢献度は大きいです。

 

ロードレース競技の難しさ

ロードレース競技は他のスポーツと比べて極めてスポンサー依存度が高いと言われています。例えばサッカーや野球ではチケット収入や放映権料、グッズ販売など多様な収入源が存在しますが、自転車チームではスポンサー収入が収益の7〜9割を占めるチームも少なくなく、スポンサーに依存する難しさがあります。

 

 

資金難で消滅・買収されたチームの実例

B&B Hotels-KTMのケース(2022年)

2022年末にフランスチームのB&B Hotels-KTMはチーム存続を断念し解散に至りました。B&B Hotels-KTMツール・ド・フランスへの出場経験もある中堅プロチームでした。2023年シーズンに向けて大型補強(マーク・カヴェンディッシュとの契約交渉など)を進めていたものの、新たなスポンサー契約が遅れ、最終的には頓挫しました。最終的には選手やスタッフに給与を支払う目処が立たず数週間後に解散を決断することになりました。

 

Team CCCのケース(2020年)

ポーランドのチームCCCは2020年シーズンに最後に解散しました。新型コロナウイルスの影響によりメインスポンサーのCCC社が契約を打ち切り、チーム年間予算の確保が不可能となりました。当時在籍していたフレフ・ファン・アヴェルマートなどの有力選手は他チームへ移籍し、チーム自体ははベルギーのCircus-Wanty Gobert(現:Intermarché–Wanty–Gobert Matériaux)に引き継がれました。

 

 

一般ファンができる応援・支援方法

自転車チームの収入の多くはスポンサー企業により成り立っており、サッカーや野球のようにチケット収入やチケット収入が難しい面があります。一方、近年はスポンサー企業以外からの収入先=一般人ができる応援・支援方法が拡大してきました。

最も直接的な支援方法がクラウドファンディングへの参加やチームグッズの購入です。例えばEF Education–EasyPost(アメリカ)は限定ジャージや関連グッズを公式サイトで販売して運営危機を乗り切ったケースがあります。日本でもJCL TEAM UKYOも同様の取り組みを行っておりファンの支援が活動を後押ししています。

また、SNSでの発信やレース観戦も間接的ですが重要な支援方法です。観戦者数や話題性がスポンサー評価につながるため、ファンがレースの魅力を広めることがチームの価値向上に直結します。

 

 

まとめ

  • ツール・ド・フランス出場チームには年間約30億円の運営費が必要。
  • 主な支出は選手年俸、宿泊・移動費、機材費、栄養・医療サポートなど。
  • 収入源はスポンサーに頼っており賞金や大会補助では補えない。
  • 運営難で解散したチームも存在し、資金確保は常に課題。
  • グッズ購入やSNS発信などファンの支援がチームの力になります。



以上