2023年3月10日 作成
2023年4月9日 更新
F1のレースを見ていると時々「セーフティカー」を見ることがあると思います。
F1初心者の方は「何かレース中に事故が起こった時にセーフティカーというのは出てくるのかな」というイメージを持っているかもしれません。
結論としては、そのイメージでOKです。
ただ、F1をもっと面白く観るためにも、もう少しだけセーフティカーについて知ってみてはいかがでしょうか。
本記事ではそんなF1初心者の方向けにセーフティカーについてまとめています。
目次
1.F1セーフティカーとは
1-1.FIAによる定義と役割の説明
F1セーフティカーとは、レース中にドライバーとスタッフの安全を確保するために使用される車&制度です。
セーフティカーはレース中に予期せぬ事故が発生した場合や、レースの開始前にコース上に異常な状況がある場合に使用されます。
セーフティカーの役割は、以下の通りです。
- ドライバーとスタッフの安全確保:セーフティカーは、レース中にドライバーとスタッフの安全を確保するために使用されます。セーフティカーがコースに入ると、ドライバーたちは速度を制限しなければなりません。これにより、事故や危険な状況を回避することができます。
- レースの展開の改善:セーフティカーは、レースの展開を改善するためにも使用されます。セーフティカーがコースに入ると、レースは停止するわけではありませんが、一定のペースに制限されます。これにより、リーダーとその他のドライバーの間にある大きな差を縮めることができ、レースの展開が変化する可能性が高くなります。
- コースのクリアリング:セーフティカーは、レース中にコース上に異常な状況がある場合にも使用されます。たとえば、事故や破片がコース上に散乱している場合、セーフティカーがコース上を走行し、破片を回収したり、コース上の危険な箇所をマーシャルによってクリアすることができます。
1-2.F1でセーフティカーが導入された背景
F1でセーフティカーが導入された背景には、安全性の向上が求められたことがあります。
かつては、レース中に事故が発生しても、そのままレースが続けられることがありました。そのため、危険な状況が生じた場合でもドライバーたちは速度を落とさずに走行を続け、更なる事故が起きる可能性が高くなっていました。また、事故現場にドライバーや関係者が近づくこともあり、余計な危険を引き起こすことがあったとされています。
これらの問題を解決するため、1993年にFIAはセーフティカーを導入しました。セーフティカーは、事故や危険な状況が生じた場合にコースに入り、ドライバーたちの速度を制限することで安全を確保します。また、事故現場に近づくことを防ぎ、現場を速やかにクリアすることもできます。
セーフティカーの導入により、F1における安全性は大幅に向上したのは事実です。安全性の確保という意味で、セーフティカーはF1レースにおいて不可欠な存在となっています。
2.F1セーフティカーの走行方法と運用方法
2-1.セーフティカーの出動条件
- 車両の安全性が脅かされた場合:セーフティカーは、車両の安全性が脅かされるような大きな事故や、コース上に危険物が落ちているなど、安全に関する緊急事態が発生した場合に出動します。
- 悪天候時などのスタート直後:F1では悪天候などのスタート時にセーフティカーを出動させることがあります。これは路面状況が良くない(=事故が起こる可能性が高い)状況下において、多くの車両が集中しているスタート直後の事故を未然に防ぐためにーフティカーが出動することがあります。
- 天候が悪化した場合:雨や霧などの悪天候下では、ドライバーたちが安全に走行することが困難になることがあります。このような場合にも、セーフティカーが出動することがあります。
F1においては、これらの条件が満たされた場合に、レースディレクターの判断によりセーフティカーを出動することが決定されます。セーフティカーの出動によりドライバーたちの安全を確保し、レースを適切に進行させます。
2-2.セーフティカーとドライバーのコミュニケーション方法
F1のセーフティカーとドライバーのコミュニケーション方法は、レース中にドライバーたちが使用するラジオ通信システムを通じて行われます。
セーフティカーのドライバーは、FIA(国際自動車連盟)のレースディレクターとも通信を行っており、コース上の状況や安全に関する情報を交換しています。
セーフティカーが出動する際には、ラジオ通信システムを通じてドライバーたちに走り方に関する指示が行われます。また、セーフティカーがコースから離れる際にも、再開のタイミングやスタートの方法に関する情報がドライバーたちに伝えられます。
ドライバーたちも、ラジオ通信システムを通じてセーフティカーに状況を伝えることができます。例えばマシンにトラブルが発生した場合や、コース上に危険がある場合など、ドライバーたちはセーフティカーに情報を提供することができます。
以上のように、F1のセーフティカーとドライバーのコミュニケーションは、ラジオ通信システムを通じて行われます。このシステムにより、ドライバーたちとセーフティカーのドライバーとの間で、スムーズなコミュニケーションが行われ、安全なレース運営が実現されています。
2-3.セーフティカーの4つのランプについて
セーフティカーのルーフ上に搭載されたランプが点灯します。4つのランプは、赤色、アンバー色、緑色、または青色のいずれかの色で点灯されます。
赤色のランプが点灯された場合、ドライバーたちは速度を落としてセーフティカーに追従するように指示されます。アンバー色のランプが点灯した場合は、ドライバーたちは速度を維持するように指示されます。緑色のランプが点灯すると、セーフティカーがコースから離れることを示し、レースが再開されます。青色のランプが点灯すると、ドライバーたちはスタートすることができます。
また、セーフティカーには速度制限を表示するためのデジタルディスプレイも搭載されています。このディスプレイに表示された速度をドライバーたちは厳密に守るように指示されます。これらの措置により、セーフティカーがコース上に出ることでドライバーたちの安全を確保することができます。
3.F1セーフティカー中のドライバーとチームの動き
3-1.ドライバーが守るべきルール
- 速度制限を守ること
セーフティカーがコース上を走行している間は、速度制限が設けられます。この速度制限は、セーフティカーの後方にいる全てのマシンに適用されます。ドライバーは速度制限を守り、セーフティカーに従うようにしなければなりません(でなければペナルティを受けます)。 - セーフティカーからの指示に従うこと
セーフティカーは、コース上の状況を把握し、マシンの挙動に関する情報を提供します。ドライバーたちは、セーフティカーからの指示に従い、コース上の安全を確保するようにしなければなりません。指示に従わない場合は、ペナルティが科される可能性があります。 - ドライバーの間隔を維持すること
セーフティカーの後方には、全ての車両が列をなして走行します。ドライバーは、自身の前方と後方のマシンとの間隔を維持するようにしなければなりません。間隔が狭くなると、接触事故が発生する可能性があります。逆に離れすぎると後続マシンの妨害に当たるとして、こちらもペナルティの対象となります。 - セーフティカーに接触しないこと
セーフティカーはコース上で最も安全な場所に位置しマシンの挙動に関する情報を提供しています。ドライバーはセーフティカーに接触しないように注意する必要があります。セーフティカーに接触した場合は、重大なペナルティが科される可能性が高いでs。
3-2.チームがやるべきこと
- ドライバーに対する指示を正確かつ迅速に伝えること
チームは、セーフティカー中にドライバーに対する指示を正確かつ迅速に伝えるようにしなければなりません。これには、速度制限の変更やタイヤ交換などが含まれます。指示が遅れると、ドライバーの戦略やパフォーマンスに悪影響を与える可能性があります。 - ドライバーの走行情報を収集すること
セーフティカー中に、チームはドライバーの走行情報を収集することが重要です。これには、燃料の消費量やタイヤの温度、ブレーキパッドの残量などが含まれます。これらの情報は、レース再開後の戦略決定に用います。 - ピットストップの戦略を慎重に決定すること
セーフティカー中に、チームはピットストップの戦略を慎重に決定する必要があります。ピットストップを行うタイミングやタイヤ交換の必要性などを考慮し、最適な戦略を選択することが重要です。選択が誤った場合、レースの勝敗に影響を与えることがあります。例えば、セーフティカー下でのピットストップは通常よりも数秒以上の短いタイムロスで済むため、ピットストップに入れるかどうかの判断を求められます。 - 競合他チームとのコミュニケーションを行うこと
セーフティカー中に、競合他チームとのコミュニケーションを行うことが重要です。これには、ピットストップのタイミングやドライバーの位置などの情報共有が含まれます。これにより、安全かつ公正な競争が確保されます。
4.F1セーフティカーのメリットとデメリット
4-1.セーフティカーのメリット
- 安全性の向上:セーフティカーは、レース中に起こる危険な事故や状況を回避するために使用されます。この車両がレースコースに入ると、ドライバーは速度を抑えなければならなくなり、これにより危険な状況を避けることができます。
- レースの展開の改善:セーフティカーがコースに入ると、レースは停止するわけではありませんが、一時的に一定のペースに制限されます。これにより、レースのリーダーとその他のドライバーの間にある大きな差を縮めることができ、レースの展開が変化する可能性が高くなります。(これはデメリットでもあります)
- 観客のエンターテイメント:セーフティカーは、レースを見る観客にとってもエンターテイメントとなります。セーフティカーがレースコースを走行するときに、観客はマシンの美しさや音を楽しむことができます。
4-2.セーフティカーがデメリット
- レースの流れを損なう:セーフティカーがレース中に入ると、ドライバーたちは速度を制限しなければならなくなります。これにより、ドライバーたちはレースのリズムを維持することができなくなり、レースの流れが損なわれる可能性があります。
- レースの結果への影響:セーフティカーがコースに入ると、ドライバーたちはペースを制限しなければなりません。これにより、レースの結果が変わる可能性があります。たとえば、リードしていたドライバーがセーフティカーの後に再スタートすると、リードを失う可能性があります。ただ、これは後続車にとってはチャンスにもなります。
- レースの時間の延長:セーフティカーがコースに入ると、レースは一時停止されます。これにより、レースの時間が延長する可能性があります。このため、予定よりも長時間レースが続く可能性があるため、観客やチームにとって不便な場合があります。
〇本記事画像参照元
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以上
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