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箱根駅伝の弊害はある?成功の裏に隠れる課題を紹介します。

光と影

 

目次

 

はじめに

箱根駅伝は毎年1月2日、3日に行われる大学駅伝レースです。

2024年は第100回大会が行われた歴史のある大会であり、魅力的なエピソードも多くあり、日本大学スポーツ界では最も成功しているとも言えます。

一方、成功を続ける箱根駅伝では語られることの少ない「弊害」があることも事実です。

「学生スポーツである箱根駅伝に弊害なんてあるの?」

本記事ではそんな疑問に答えるために箱根駅伝の弊害について紹介します。

 

 

【弊害1】選手への過度なプレッシャー

箱根駅伝は2日間合計10時間以上にも及ぶ競技でもありながら平均視聴率20‐30%を誇るビッグイベントです。

視聴率が高い=相当なお金・人間の利害関係が絡んでいる ということです。

そしてこれらは選手への過度なプレッシャーに繋がる恐れがあります。

多くの人の期待(良い意味・悪い意味両方で)を背負うため選手によっては不安・ストレスの増加、自信の喪失、プレッシャーによる実力が出せないケースが起こりえます。

過度なトレーニングにより怪我のリスクの増加、疲労の蓄積、長期に渡る体への悪影響も起こりえます。

また、最終的には燃え尽き症候群(慢性的な疲労感、モチベーション/パフォーマンス低下)になるかもしれません。

 

 

【弊害2】駅伝特化のトレーニン

箱根駅伝は各区間おおよそ20㎞のため、箱根駅伝で上位を狙う大学は選手に対して20㎞をいかに速く走れるかを求めます。

箱根駅伝で結果を残すことは大学にとっては大きなアピールになるので仕方ない部分はあるかもしれませんが、ここでは箱根駅伝以外の競技への弊害を紹介します。

 

まずは時々耳にする「マラソン選手育成への弊害」です。

ラソンは42.195㎞を走る競技であり箱根駅伝の2倍以上の距離です。

ラソンを基準と考えた場合に箱根駅伝は短い距離を速く走り続ける能力が求められます。このためマラソンに必要な超長距離の走り込みが不足し、マラソンに必要な「ペース配分」「後半の粘り」を身に付ける機会が少なくなります。

 

また「マラソン以外の競技への弊害」も考えられます。

ラソンとは逆にトラック競技(5,000mや10,000m)に必要な瞬発力・スピードが箱根駅伝特化のトレーニングにより不足する恐れがあります。

またアスリートとして有力な選手は箱根駅伝を目指すため、トラック競技など他の競技の競争力低下に繋がっている可能性も挙げられます。

 

しかしながら、箱根駅伝に特化したトレーニングが直接的に他競技への弊害になるかは微妙なところで、実際に五輪マラソン選手の7割は箱根駅伝経験者とも言われます。

また、一部のトップ選手は箱根駅伝後(大学卒業後)を見据えたトレーニングをするケースも近年は見られます(元東洋大学の設楽啓太選手や服部勇馬選手など)。

このように「箱根駅伝から世界へ」という流れは近年のトレンドであり、ますます箱根駅伝ブランドの向上に繋がっています。

 

 

 

 

【弊害3】学業との両立

箱根駅伝を目指す選手は毎日何時間にも及ぶ厳しいトレーニングを行っています。

日々の練習に加えて合宿や試合もあるため、どうしても学業に充てる時間が不足してしまいます。

特に箱根駅伝上位校ではより顕著かもしれません。

試合・合宿への参加のために授業への出席が困難になる場合があります(合宿の多くは夏場=大学が夏休みのケースが多いかもしれません)。

また普段のハードな練習による疲れから集中力が低下する恐れがあります。

さらに仮に箱根駅伝に特化した学生生活を送った場合、他の学生が身に付けていたスキルが不足し将来的な進路の選択肢を狭める可能性もあります。

もちろん箱根駅伝を通じた体力・忍耐力・精神的な強さは大きな武器になる一方で、誤解を恐れず言えば走ることを求める企業は少ないと思われます。

一方で、青山学院大学の原晋監督は元々サラリーマンだったこともあり学業も重要視しており、選手に大学の駅伝イベントよりも授業を優先させたという話もあります。

 

 

【弊害4】商業的な側面

弊害1の繰り返しとはなりますが、箱根駅伝は1,000万人規模の人が見る国民的イベントであり、億単位のお金が動いています。

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このため選手は学生ではあるものの、否が応でも商業的な側面の影響を受けることになります。

代表的な部分では箱根駅伝のスポンサー絡みのイベント出演やインタビュー対応などが挙げられます。

これらは選手に対して競技面での成功だけでなく、大学の期待を裏切らないイメージ作りを要することになります。

また、大学によってはチームをバックアップするスポンサーを獲得しています。

現状はインタビュー対応などを明確に禁止している大学は無さそうですが、あくまで学生競技であることを認識して大学・スポンサーも対応すること(大人な対応をすること)が望ましいです。

 

 

【弊害5】関東の大学に有力選手が集中

箱根駅伝への出場権利があるのは関東学生陸上競技連盟関東学連)に加盟している大学に限ります。

そして有力な高校生の多くは箱根駅伝への出場を夢見るため、どうしても関東の大学に有力選手が集中してしまいます。

有力選手が関東に固まるため、地域間の格差が非常に大きくなります。これにより全国的な長距離走の発展にブレーキをかけている可能性が指摘されます。

さらに日本の大学三大駅伝は「出雲駅伝」「全日本大学駅伝」「箱根駅伝」と言われています。しかし、関東以外の大学はそもそも箱根駅伝には参加できず、初めから三冠を取ることが不可能となっています。

 

nin-niku.hatenablog.com

 

 

まとめ

本記事では箱根駅伝の成功の裏に隠れる弊害について紹介しました。

箱根駅伝が大学駅伝として大きな成功を収めていることは間違いなく、だからこそ平均視聴率20‐30%を叩き出しています。

しかしながら、その裏には弊害・課題もあることを知ることでより深く箱根駅伝を楽しむことが出来るかもしれません。

 

 

以上