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ロードレース「ハンドル投げ」とは?|ツール・ド・フランスの実例紹介│テクニックor妨害行為?│日本国内でも⁉

自転車

 

ロードレースの最終ゴール前は僅かな差で勝敗が分かれます。この差を埋めるための「ハンドル投げ」という技術をご存じですか?本記事では後方に体重を移動してバイクを前に飛ばすメカニズムから、安全性や禁止の可能性、更にはツール・ド・フランスや国内レースでの実例までを紹介します。

 

目次

 

ロードレースでのハンドル投げとは?

ハンドル投げ(英語ではバイクスロー:bike-throw)とは、選手が体を後方に引いてバイクを前方に押し出すことです。

これにより選手+バイクの速度は変わらないものの、バイクの位置が(瞬間的に)前に出ます。これはバイクに対して重たい選手が後ろに動いたことで、軽いバイクがその反動で反対側(前方)に動く物理現象(慣性の法則)を利用したものです。

下記サイトによると選手が2㎝後ろに下がるとバイクは18㎝も前に出るそうです。

ロードレースにおいてゴール前はコンマ数秒でも前に出る必要があるため、ツール・ド・フランスを初めとして多くのレースでハンドル投げが見られます。

参考:Technical FAQ: Physics and the bike throw - Velo

 

 

ハンドル投げは危険?

ゴール前のハンドル投げは”一定のリスク”を含んでいます。

有力選手が参加するグランツールでは数10人が時速60km以上かつ密集した状態でゴールスプリントを行います。これだけでも接触等のリスクがある上にハンドル投げはさらにリスクを上げることになります。

 

ハンドル投げではありませんが、UCI(国際自転車競技連合)が事故防止のための「レッドフラッグルール(RFR)」を導入して、ゴール直前1km以内で落車してもタイムロスを免除することとしました。しかしLybbertらの2012年の論文によれば、この1㎞を3kmに拡大させた結果、ゴール直前の事故発生率が約2倍に増加したそうです。これは選手が「落車しても実質ペナルティがない」と捉えてよりリスクを取りに行った結果です。

 

現状ハンドル投げは禁止されていないですが、今後安全面を考慮してハンドル投げが禁止になる可能性もゼロではありません。

一方、ツール・ド・フランスは歴史のあるロードレース界であり、ハンドル投げを「文化」としている側面もあるため簡単には変わらないかもしれません。

 

 

ツール・ド・フランスの実例①

2024年 第6ステージ

マコン〜ディジョンの163.5kmを走った第6ステージでは4選手による壮絶なスプリントが展開され、最後はディラン・フルーネヴェーヘン(オランダ)がヤスペル・フィリプセン(ベルギー)にハンドル投げで辛勝しました。ゴール直前で前輪だけを僅かに前に出し、僅か数cmの差を制したこのハンドルは観客を大いに沸かせました

参考:Tour de France 2024: Groenewegen pips Philipsen in photo finish to win stage six – as it happened | Tour de France 2024 | The Guardian

ツール・ド・フランス2024年第6ステージのゴール前スプリント

 

 

ツール・ド・フランスの実例②

2020年 第11ステージ

このステージではカレブ・ユアン(オーストラリア)がペーター・サガン(スロバキア)とのデッドヒートを繰り広げました。カレブ・ユアンが最後のペダルを止めた瞬間、バイクを前方に投げ出すように体重を後ろに引いてハンドル投げにより勝利をつかみました。

参考:2020 Tour de France, Stage 1 to Stage 11 - Wikipedia

 

 

国内レースでの実例

日本国内でもハンドル投げによる名レースがあります。それは2019年の埼玉クリテリウムです。新城幸也のアシストを受けたソンニ・コルブレッリ(イタリア)がエドワード・トゥーンス(ベルギー)とのゴール前スプリントをハンドル投げにより制して、日本のファンを沸かせました。

参考:2019年クリテリウム | UTSUNOMIYA JAPAN CUP CYCLE ROAD RACE

2019年 埼玉クリテリウムでのハンドル投げ

 

 

まとめ

  • ゴール前に体重移動でバイクを前方に飛ばす「ハンドル投げ」はコンマ数秒の勝敗を左右する重要なテクニックです。

  • 一方、ハンドル投げは密集スプリントで転倒リスクを高める恐れもあります。

  • ハンドル投げはロードレースの文化的側面もありルール上は禁止されてませんが、将来的に安全面で見直しがかかる可能性はゼロではありません。

  • ツール・ド・フランスだけでなく国内レースでもハンドル投げにより名勝負が演出されます。

 

 

以上